「炭焼き体験会」 

 

 

 朝から素晴らしい晴れっぷり。

 運命の…いや、炭出しの日は、幸先良い感じで始まってくれました。

 

 

 

 この時期、イベントが各地でてんこ盛りだったりするわけですが、その中からこの炭焼き体験会【炭出し】を選んでいただいた一般参加の方には感謝感謝です。市役所の若手の方も参加していただけました。

 「ここ2、3日、寝られませんでした」というEさんこと森林公園くつきの森の海老澤さんのあいさつから炭出しが始まりました。

 炭窯は、10月30日に着火。11月4日に封じました。

 その間、煙突付近の温度を測定した結果を、エクセル君に託すとこんなグラフになりました。

 封じる直前、煙突付近では約245℃。窯内はさらに高温だったと思われますが、誰かがトラッキングしていたわけではありません。温度計のなかった昔の人たちは、窯を触った時の温度感覚や煙の色や匂いで窯の中の状況を推測していたわけで、ホント炭焼きはすごい技術だと思わずにはいられませんでした。

 

 窯内を高温にしていて、密封する以外何もしていないので、今日炭窯を開けることによって不測の事態が発生することを想定し、タンクに入れた水とポンプ、ホースなど消火用具も準備していただきました。

 ホースを手にしているのはくつきの森の頼れるスタッフ石脇さん。高島市の女性消防団のメンバーとして、市の広報誌に制服姿が載ってましたね。今日はよろしくお願いします。

 

 
 炭窯の搬出口は耐火レンガ、練った土、木などで封じられているので、最初にそこを崩さなければなりません。棟梁が慎重に土を崩して行きます。
 
 参加者の方々にも手伝っていただきました。
 
「熱いな…」棟梁が心配そうに呟きました。

「中はだいぶ熱い。まだ燃えとるな」


 みんな一斉に緊張しました。


「水用意して」
 
 
  


 焚き口が開けられ、窯内に新鮮な空気が入り込んだことにより、再び点火する原木も出てきました。燃えている木があると窯内から炭を取り出すことは出来ないので、今回は水で消火しました。

 本来は、自然消火しているべきところですが、今回は致し方ありません。このまま放置していると、みんな燃えて灰になってしまいます。

 

 
 
 スタッフの方に続いて、参加者も中に入って炭出し作業。

  中は暑くて、入った方は汗だくになっています。そういえば
炭がまのこの形、京都・八瀬のかま風呂もこんな感じだったような・・・

 燃え尽きて灰になったもの、原木の形を残しているもの、部分的に炭化しきれていないもの等々、窯内の原木の状態はさまざまでした。

 炭化によって木から水分は抜けてしまうので、その分のかさは減っています。
 炭になる途中の木はこんな感じ。元の木の色がまだ残っています。

 原木の、地面についている部分はどうしても炭になりきれずに残ってしまうので、そこはカットするそうです。

 炭をノコギリで切ると、炭の部分は軽快にギコギコ切り進められるのですが、まだ木の部分にかかると急に切れなくなったりします。
 
 テクニカルシニアアドバイザーの北谷さんから、説明を聞きます。

 炭は確かに出来ましたが、売れるレベルにはなっていないとのこと。温度のコントロールや、窯の構造などで工夫が必要ということでした。

 地域の炭窯は工業的に作られるものではないため、サイズや構造、材質はさまざま。材料の木も種類やサイズ、生育状況は均質ではありません。

"窯のクセを見極める"

 この炭窯にあった炭焼きの技術を確立していくことが今後必要です。
 
 北谷さんからアドバイスを受ける海老澤さん。
 

 窯の構造の改善案について、アイデアを図で説明する北谷さん。

 やはり、内部を狭くするダウンサイジングが必要ではないかとのこと。それと煙突の位置の見直し。

 ・・・こういう話は、実際に炭焼きしないと出てこないレベルのことだと思います。
 
 炭窯の中身ですが、窯を開けた時に私たちが想像した以上に実際は炭が残っていました。これは、前回よりは大きな一歩です。
 
 
 今回はこんな炭が出来ましたが、窯のクセを見極めて、原木の形を残し、たたくと高い音がする炭ができるよう、経験を積み重ねていきましょう。

 なお、この炭をバーベキューに使うとおいしく焼けてくれるそうです。
 
 お昼前から午後にかけては、みんなで炭の袋詰め作業。

 量が多くて意外と大変でしたが、皆さん手や顔に炭を付けながら楽しんで作業をしていました。
 
 

 「この袋も使っていいですよ~」と持ってこられた紙袋。

 新品の紙袋だったのですが、なんとこれは高島市が合併前の朽木村時代に農協で炭を売っていたころに使われていた紙袋。

 これは、琵琶湖博物館に置くべき代物ですが今日使いますか。
 
 今日出来た炭は、お土産ということで参加者の皆さんにも持って帰っていただきます。
 
 締めのご挨拶。

 参加いただいた皆さま、くつきの森の皆さま、ご支援いただいたすべての皆さま、本当にありがとうございました。
 「たかしまの森へ行こう!」プロジェクトでは、「持続可能な森林資源活用」の方法のひとつとして、2019年度から炭焼きを活動テーマのひとつにしてきましたが、炭の原木となる木の育成についても、市民の方々に関心を持っていただけるイベントをしていきますので是非ご参加ください。

 ( このイベントを開催するに至ったのは、当プロジェクトで手掛けた市民調査型森林調査 "くつきの森で森のカルテをつくろう!"で、シカの食害の深刻さに気づいたことが関係していたりもします )
 
 せっかくの機会なので、記念撮影を。

 
 炭窯は森林公園くつきの森 やまね館の近くにあります。
 事前にご連絡いただけると、見学も可能です。
( 森林公園くつきの森 Tel: 0740 - 38 - 8099 火曜日定休日 )

  また、炭焼きに関心のある方は、「森林公園くつきの森」または「たかしま市民協働交流センター」までご連絡ください。市内の炭焼きグループの紹介や、イベントのご案内をさせていただきます。よろしくお願いします(^^)

 コロナ禍などの影響もあって、2年を越えて続いた「くつきの森 炭がま復活プロジェクト」。たくさんの汗と涙が流れました。( 血が流れることはなかったのはホント良かった・・・ )
  森林公園くつきの森の皆さんをはじめ、かかわっていただいたすべての方々に、改めて御礼申し上げます。そして、お疲れさまでした。
 
 何はともあれ、炭を焼いたということで、炭がまは復活できたと言えます。が、炭焼きの復活への道は今後もまだまだ続くようです。

 この炭がまで、これから何かドラマが生まれてくれると良いと思っています。
 そして、そこに皆さんが何らかの役で、出演したり、かかわってしていただけることを願っています。