「炭焼き体験会」
Day 1 第一日目 2021/10/30(土)
  すっきり晴れ渡った秋晴れの空の下、森林公園くつきの森「炭焼き体験」の第1日目が始まりました。

 本日の参加者は京都からお越しいただいた家族連れの皆さんや、論文執筆に忙しいはずの?龍谷大の院生さん、夏原グラントの方を含むスタッフ合わせて延べ11名。
 
 そして、今回はテクニカル・シニアアドバイザーとしてマキノ町「国境炭焼きオヤジの会」の北谷さんにお越しいただき、作業全般についてアドバイスをいただけるという盤石の体制で臨みました。
 
 オープニングのあいさつタイムもそこそこに、さっそく作業開始。
 

 

 まずは、前回は予定時間を大幅に超えてしまった「炭原木の収容作業」です。
 
 
 今回は、前回の反省を生かし、森林公園くつきの森の皆さんが事前に炭原木を準備していました。
 
 
  今日の作業は「とにかく詰めていく」がテーマ。スタッフと参加者で手分けして収容作業を進めました。入れる炭はコナラだけでなく広葉樹いろいろ。長さもこの炭窯の中に立てかけられるサイズにそろえました。とにかく、「炭をつくる」ことを最優先して、北谷さんの国境での炭焼きの経験と実績に基づいたアドバイスをいただきながら、作業を進めました。
 
「今日は大丈夫かな?」「やっぱり、もう少しあったほうがええな」スタッフ間で会話がはずみます。「ちょっと、木ぃ持ってくるわ」別の場所でストックしていた木をトラックに載せて運んできました。炭にする木は水分を含む生木のほうが良いので、炭窯周辺の木を数本伐採して、それを切りそろえて炭窯に収容しました。
 
 
  収容作業は、お昼休みをはさんで、午後1時過ぎまで。

 用意してあった木は見事に炭窯の中に詰められました。
 
 今回は、炭窯の大きさを計算して、その立米(*)に合うだけの原木を用意していた、と森林公園くつきの森のスタッフの方。さすがです。

* 立米とはりゅうべいと読みます。要は立方メートル、㎥のこと。林業の世界では、木材の量は㎥が基本的な単位です。

( 私がこの単位を知ったのは、高島に越してきて薪ストーブを導入した際、薪をまとめ買いする時に初めて聞きました )
 
 その後は、炭窯に原木を搬入していた通路を塞ぎました。外部との空気の出入りが発生しないように、北谷さんにもお手伝いいただいて、皆さんで耐火煉瓦、練った土、丸太などを使って厳重に封鎖。
 
 
 その後、焚口に杉の木や葉をたくさん積み上げて、炭窯に見事に着火。時刻は14時50分少し前。前回の炭焼き体験会では、この部分は時間オーバーで完全に別日程になってしまったのですが、今回は、多少のドラマを含みつつ、ヤマ場はきっちり終了時間直前。まさにテレビのドキュメンタリー番組を観ているかのような素晴らしい展開でした。
 
 
 こうして第一日目は、無事終了しました。ありがとうございました。

 

 今日は、海老澤さんと院生さんがくつきの森に宿泊して火の番をするそうです。
 
 
Day 2 2021/10/31(日)
 この「炭がま復活プロジェクト」で、二日続けて秋晴れだったのは初めてのことだったように思います。今日はスタッフと院生の子以外は違う顔ぶれで、スタッフを含め13名。
 
 そして、炭焼きには着火してからの温度管理が極めて重要だということで、炭窯のことを案じて「煙突で温度を測って、都度俺の携帯に連絡しろ」と言っていた北谷「テクニカル・シニアアドバイザー」が再び登場。
 
  昨夜と今朝で、スタッフの方が煙突口に温度計を突っ込んで測定した結果、少し上昇傾向が見られました。「私らの窯と、ここの窯はつくりが違うんだけど・・・」と北谷さんは前置きしながらも、その上昇ぶりは炭焼きの過程にとっては早すぎるということで、温度上昇を抑えるため、焚口から入る空気の量を石で調整して去って行かれました。
 
 今回の炭焼きで、前回(2020年11月)の作業と大きく違うのは、前回では炭窯のあちこちから噴き出していた煙が、今回はほとんど見られなかったことです。
 これは、ある意味想定外でした。

 棟梁曰く、前回の炭焼きで発生したススが、炭窯の土の割れ目に付着して塞いでくれているのではないかとのこと。前回の出来事は決して失敗ばかりではなかった、ということなのでしょうか。
 
  今日のスケジュールは、火の加減を調整したり、炭窯のあちこちから水蒸気を含んだ煙が出てくるのを、練った土で塞いだりしてテンヤワンヤの状態を想像していたのですが、状況が変わってしまいました。
 
 ということで、今日の参加者の皆さんには、天候にも恵まれていたということで周辺に点在する昔の炭窯跡を見ていただいたりする時間も出来ました。
 
「あと、ここから出ている煙、これは今日中になんとかしといたほうがええ」
 
 北谷さんが帰る際に指摘されたのは、炭窯の左奥のほうで、小屋の外から煙が噴き出していた部分。放置していると、小屋に延焼する可能性もあるとのこと。これは、棟梁が対応して、修復しました。
 
 今日はそんな感じで穏やかな作業日でした。前回は二日目の最後の最後に炭窯に木を詰め終わっていた(※この時は、火入れは後日実施になりました)ことを思えば、その差にはちょっと驚くばかりでした。

 北谷さんが示された温度上昇のスケジュールに合うよう、ここ数日は炭窯の温度調節が大変です。その後、窯の中で焚口からの炎により着火した窯内の原木たちが、酸素のない状態で燃えて炭になるよう、炭窯を封じます。
 
  その後、窯が冷えるのを待って炭窯から炭を取り出す「炭出し」は、11/21(日)を予定しています。
 果たして中はどうなっているのか、関心のある方は是非森林公園くつきの森までお越しください。